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多様性

[ ~2022 三重バイオレットアイリス ]

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

大晦日と元旦の2日間だけ、年末年始の休み。1月2日からバイオレットは活動再開。もう今週末1月6日には鹿児島でSONY戦である。つまりJHLが再開する。

11月12日の大阪ラヴィッツ戦以降、約2カ月振りのJHLだ。現在13戦8勝4敗1分の勝点17。いよいよここから痺れる様な試合、毎日が続いていく。今から楽しみでしょうがない。

僕が日頃から大切にしている視点の一つ「多様性」について自分なりの考えを纏めておこうと思う。

バイオレットのメンバー構成は高校生、大学生、社会人と様々。現時点では17名のJHL登録の選手と2名の練習生の合計19名で活動している。シーズン途中では国体では元主将のOG(現在は教員)にも協力してもらった。

言うまでもなく、三重バイオレットアイリスは三重県を拠点に活動するクラブチームなので、こういった多様性を大切にしながら活動している。

高校生が大阪遠征ならぬ、大阪遠足から戻って練習に参加しにきたり、大学生が試験勉強の合間を縫って練習に参加しにきたりと、その辺りはその時その時で柔軟に対応している。それでもチームが目指しているのは日本一であり、世界に通用する選手を育てて行くことに変わりはない。

とは言え、バイオレットの中核をなす選手の多くは高校か大学(所謂ゴリゴリの体育会系を経て)を卒業して、三重バイオレットアイリスに入団してくれた。スカウトを経て入団してくれた選手もいれば、トライアウトを乗り越えて入団してくれた選手もいる。入団してしまえば、みんな同じでスカウトもトライアウトも関係なく、そこにあるのは競争と協力だ。

世間一般の感覚でいうと、このゴリゴリの体育会系の方が特別な存在なのだが、実はこのゴリゴリの体育会系の中に長い間身を置いていると、しばしば逆転現象が起る。自分達の当たり前が全てになってきて、他者からの視点とか社会的な視点とか国際的な視点を持つ事が難しくなってくる。

人間誰でもそうだが、自分のいる環境からの影響は良くも悪くも受ける。自然に「こうあるべき」ということが染み付いてくる。これまでと違う考え方や、変化に対応するのは基本的に、労力を伴うので、あまり良しとされない。「空気を読め」とか「今までもこうだった」からとか言われることが多い。

これは誰でもそうだと思う。僕だっていきなり裸族の村に送りこまれて、今から裸族と同じように過ごせと言われても最初は抵抗感を持つに違いない。

でも僕は「変化」を受け入れたり、自分と「違う考え方」に触れることを大切にしている。「空気を読む」ことも大切なことかもしれないが、それと同じくらいに「空気に流されない」ことも大切だと思う。

話があちこちに飛んでしまったが、話を「多様性」に戻そう。

例えば、大学3年生のこの時期になり、自分の人生と真剣に向き合っていれば今の日本だと「就職活動」が本格的になってくる。練習生として日本リーガーになる為にもチャレンジしたい、でも就職活動も大切にしたい。真剣になればなるほど、本気になればなるほど、悩むわけだ。「両立」「ハンドボール」「就職活動」そこに「正解」も「間違い」もない。世間一般でいう割と普通の感覚に近い練習生の大学生が、自分の人生と本気で向き合って悩んでいる事を、他のメンバーに相談する。そうすると「大学3年生のこの時期になると、普通は就職活動を考えるようになるだぁ」という当たり前の事実に他のメンバーも当事者意識(もしかするといつか自分もセカンドキャリアのこと)を持って気がつく事ができるのだ。ここで言う他のメンバーとはゴリゴリの体育会系を経てきた選手や高校生のことを言う。

年末のチームの忘年会(お酒の場&高校生は言うまでもノンアルコール)に高校生の参加についてもみんなで考えてみる。シーズン途中に合流して練習以外のそんな機会に「参加もしてみたいし。気も使うかな」と高校生の本人は考える。両親にも相談してみる。チームとしても、高校や教育委員会からの意見も仰ぐ。「なかなか無い機会だし、参加してチームにとけ込むことを優先してもいいじゃないか?」「自分達ではよかれと思って親睦の機会を持っても、お酒の場に高校生がいることを他の人が観たらどう思うか?」少しずつだけど選手達がこんな事にまで考えを巡らせられるようになってきた。

こんな事を考えたからと言って、シュートテクニックが向上する訳でも、スタミナがUPするわけでもない。それでも僕はこうした部分と日々向き合っていくことが、競技力向上に繋がっていくと信じている。

最初は「大学生を練習生に?」「高校生を日本リーガーに?」と言う反応が内外にあったことは確かだ。その他にもシーズン途中に伴侶を得て夫婦二人三脚で気持ち新たに日本リーグにチャレンジしてくれている選手もいるし、バイオレットを経てデンマークのプロリーグへ海外移籍した選手もいる。こうした「変化」を受け入れながら、本人の意志と周囲の理解もあって少しずつ歩みを進めてきた。「答え」や「正解」の無いことに対して、みんなで向き合い「多様性」を大切にしながら活動しているのが今の三重バイオレットアイリスというクラブチームなのだ。

年末年始の忙しい中に、選手の職場の皆さんや、県外のシューターズの皆さんが、そんな三重バイオレットアイリスというクラブチームの練習を観に来てくれたことが僕は凄く嬉しかった。

2018年も三重バイオレットアイリスのこと、皆さんよろしくお願いします。



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