いま、ここ、じぶん
2022年度の福井県のスーパーアドバイザー事業を無事終えることができた。2009年から合計6シーズン在籍した北陸電力ブルーサンダー(以下、北電BT)に2022年4月から何度かコーチングをする機会を頂いた。
毎回、須坂監督と事前に打合せをしてその時のテーマや課題を聴かせて貰った。須坂監督からのオーダーを参考にしメニューを作成、その場で選手の反応を見ながら進めていくことが多かった。
少し話を戻す。
2007年にドイツで左膝を脱臼して、所属チームがなく、リハビリを続けている時に救いの手を差し伸べてくれたのが北電BTだった。2009年の夏が終わる頃に縁も所縁もない福井で活動することになった。シーズン途中に通過登録して貰って、数試合は少し試して使ってもらえた。テーピングをグルグル巻きにして試合に出ては相手にスコンスコン抜かれて、1ヶ月も経たないうちに殆ど出番はなくなった。
そこからDFメインでまともに試合出場できるまでに2年くらいかかった。左膝を脱臼して北電BTに加入するまでに約2年。そこからそれなりに試合でプレーするまでに更に2年。合計4年かかって試合出場できるようになった。本職のRBと2枚目DFではなく、中央を守るディフェンダーが新しい役割になった。
当時の北電BTは連戦連敗。1年に1回勝てたら良い方だった。仕事を終えて夜の練習をスタートする時には3,4名で開始。練習の途中に人が増えてきて、やっと最後の30分に4対4が出来るなんてことが日常的にあった。平日に残業しておかないと、週末の試合や遠征に帯同できない現実があったのだ。トップリーガーがこれで良いわけないのだが、当時はこういう現実を受け入れて、拾ってくれた北電BTに感謝してハンドボールを続ける以外になかった。
最後の3シーズンはコーチ兼任選手として神田監督、前田監督のもとで多くの経験をさせて貰った。須坂監督、藤坂キャプテンは北電BTでのラストシーズンの大卒&高卒ルーキーとして一緒にプレーした。当時のチームメイトでまだJHLに在籍しているのは須坂監督と藤坂キャプテン、そして福岡ゴールデンウルヴスの赤塚コーチ兼任選手のみになってしまった。
その二人が監督&キャプテンを務める北電BTでこの仕事をさせて貰えるのは感慨深い。
2022-2023シーズンもいよいよ終盤。シーズン終盤のこの時期は、多くのチーム、多くの選手が色んな事を抱えながらハンドボールしている。新リーグ構想の事もあってか、今シーズンは尚更だ。
プレーオフ争い、レギュラー争い、ベンチ入り、怪我、引退、国内移籍、海外移籍、追加登録、試合での好不調、一試合の勝ち負けで、天国と地獄が交互にくる。
残り数試合、数時間、今のそのメンバーでハンドボールができる限られた時間。今いる自分の場所に集中して、全力を注ぐ。その先に未来がある。
JHLの選手として活動できる一瞬一瞬って本当に貴重だ。「いま、ここ、じぶん」に集中して全力を出し切ることができますように。ただただそれだけ。
それにしても現在進行形で指導しているピサノ(中部大学3年)が北電BTに加わることになるとは夢にも思わなかった。
フレア体育館に行くと、毎回誰かしらと懐かしい再会がある。今回は当時のチームメイトの高橋&高田&桜井(桜井は残念ながら写真なし)と嬉しい再会。
彼らは今、福井の子供たちのコーチをしている。