みどりハンドボールスクールへ ~親子2世代で~
みどりハンドボールスクールに行ってきた。愛知県名古屋市で活動する小学生チーム。今回の会場は小坂小学校。
今回、事前にお願いされていた内容は「僕の体験談」と「DFの駆け引き」。
何度も事前に打ち合わせをさせて貰った。直近の試合の映像も見せて貰って子どもたち様子やレベル感も丁寧に伝えて頂き当日を迎えた。
実施した内容はトーク&ハンドボールで2時間ちょっとのプログラム。
トークは選手時代:HONDA→ドイツ→北陸電力BT、と指導者:指導者準備期間→三重バイオレットアイリス&おりひめジャパン→中部大学の体験談。
ハンドボールはウォームアップ→シュート&GK→1on1→まとめ&写真撮影。
【中部大学ファミリー】
今回、声をかけてくれたのはみどりハンドボールスクールの野村監督。中部大学のOBで、2014年のインカレ優勝メンバー。
ちょっとだけ、むかし話。(今回はむかし話多め)
インカレ優勝後の日本選手権(当時は全日本総合選手権やったかも?)で北陸電力BTと中部大学が初戦で激突。北陸電力BTの中央を守るは僕とスーさんこと須坂さん(当時北陸電力BTのルーキー:スーさんはその後、チームの中心選手として活躍、コーチ、監督を経て、現在は中部大のコーチ)。
中部大学の後輩たちは左膝が悪い僕のところを徹底的に狙って攻めてきた。懐かしい。何とかインカレチャンピオンを退けて北陸電力BTが勝利した。
そんなインカレ優勝メンバーの野村さんが今、ジュニアの現場に立っているっていうのが、なんとも感慨深い。
今回は濱野さん(中部大学ハンドボール部4年生GK)も一緒に来てくれた。彼は将来はGKコーチを目指している。今年の2月には将来を見据えてドイツにも短期留学、コーチとしての視点を持ちながら選手をしている。
というわけで、今回は「くっしー&ハマちゃん」である。
【part1 トークセッション】
まずは20分ほど、アイスブレイクも兼ねて自分の話をさせてもらった。
HONDA時代、世界最高峰の左腕と言われたストックランの衝撃。
「同じポジションに圧倒的な選手がいたら自分はどうするだろうか?」
ちなみに当時の僕はただただ圧倒された。
そこから一念発起してハンドボールの本場のドイツへ。けど、ドイツ2年目に左膝の大怪我。選手生命を一度は失いかけた。正直、あの時はどん底だった。怪我した現実を受け入れらずに、ただ時間だけが過ぎていった。
日本に帰国する直前。ドイツの最後に撃たせて貰って外した7mtが悔しくて、「ああ、俺はもう一度ハンドボールがやりたいんや。今まで何をしていたんやろう」って現実と向き合わせてくれた。嬉しい気持ちじゃなくて、「悔しい気持ち」が次へのエネルギーになった。
「みんなはこの前の試合で勝てなくて、悔しかった?」
「この悔しさをどうやって次に繋げていく?」
日本に戻って本格的にリハビリを開始。2年間って期限を決めてもう一回コートに立ちたくて、意地になってリハビリを続けた。
北陸電力でなんとか競技復帰を果たして、また少しずつ試合に出られるようになった。
こんな感じで僕の体験談を少し話して、子どもたちが「自分だったらどう感じるか?どうするか?」を想像して貰って意見交換して貰った。
【part2 ハンドボール】
ハンドボールを「楽しむ」。大切にして欲しいことの一つ。
ウォーミングアップの中に少しずつ「DFの駆け引き」の要素を入れながら進行。OFもDFも勝ち方がそれぞれ2つずつあるルール。やりながら自分たちで自然に「駆け引き」を表現してくれた。
設定されたルールや、今の条件下で「どうやったら上手くいくだろう?」って自分たちで考える。複数のタスクを同時処置。矛盾する要素に何とか対応する。子どもたちは頭も身体もフル稼働でニコニコと頑張ってくれた。
GKはハマちゃんが丁寧に観てくれた。
最後は3ヶ所のエリアを設けての「1on1」。ここで子どもたちの反応を観ながら段階的に質問して、子どもたちの考えに耳を傾ける。
「DFの目的は?OFの目的は?」
「DFはシュートを打たせないこと?んんん〜〜〜、えっとゴールさせないことかなぁ」
とかやり取りをしていく。
「そうやなぁ。DFの目的なゴールさせないことやなぁ。じゃあ、ゴールさせない為に、GKはDFにどうやって守って欲しい?」
するとGKの子が「同じシュートなら遠くからとか、外側に追い込んだシュートなら結構取れるかも」
「おお〜、ええやん、ええやん。具体的になってきたなぁ。遠くからのシュートとか、外側に追い込んだシュートになるようにするには、仲間のDFにどうやって声かけるとそれに近づく?」
こんな調子で、一歩ずつ進めていった。
今回はあえて、最初に説明をせずに、子どもたちの反応を観ながら、質問をして、子どもたちの自分たちで考えた事をベースに一歩ずつ進めて言った。途中で「こういう視点で考えてみると良いよ」「今のヤバイって感じたんじゃない?どうしたら上手くいったと思う」って話しかけたりに留めた。
そして最後に今日の感じたことを話し合って貰って、最後に今日やったことのまとめやみんなが考えた事をホワイトボードに書いて整理した。
正直言って、この頃は「ハンドボール楽しい」って感じでくれたらそれだけでOKやと思っている。楽しいと感じることは、勝手にやる。努力は夢中に勝てない。
【平子ファミリーとの再会】
さらにさらに今回、平子ファミリーとの嬉し過ぎる再会。
平子くん、三重県出身、北陸高、日本体育大を経て大同特殊鋼phoenixで活躍した技巧派・左腕として活躍。名手、平子卓人。はい、タクト。
旧制・乾さん、奈良県出身、洛北高→大阪教育大で何度も全国制覇したレジェンド級の選手。(もし日本リーグに進んでたらって正直今でも思う人は少なく無いんじゃなかろうか。)はい、いぬっち。
この二人のとの出会いは彼らが小学生時代に遡る。僕は現役選手の頃から将来、指導者になりたいと考えていたので可能な限り準備するようにしていた。僕がHONDA時代に鈴鹿ハンドボールスクール(三重県)や真弓クラブ(奈良県)に時間を見つけては顔を出していた。そこに当時、小学生の彼らがいた。当時から二人はセンス抜群だったのは言うまでも無い。
そう言うわけで、僕の中では今でも「タクト&いぬっち」なのだ。
トークセッションの部分に少し戻ると、左膝のリハビリを経て、僕が北陸電力BTでプレーしている晩年。平子少年が日本体育大を卒業して、大同特殊鋼phoenixにスーパールーキーとして入団してきた。なんと今度は選手として対戦することになったのだ。
お互いのポジション的に直接マッチアップすることはなかったけど、入団直後から的確に飄々とプレーする姿を観ていて、すげ〜なぁと関心していた。タクトがどう感じているかは分からないけど、こっちは勝手に感慨深いものがあったので、当時のことはよく覚えている。
なんと、なんと、今回みどりハンドボールスクールに何と平子夫妻の長男くんが参加してくれていた。
「将来の指導者になるための準備」として始めたあの時間が、20年以上経ってこんな形になって返ってくるなんて、最高過ぎる。親子2世代に渡って一緒にハンドボールができる奇跡。出会い、縁、ハンドボールに感謝。
みどりハンドボールスクールの皆さん素晴らしい機会を頂きありがとうございました。日曜日の夜遅くに、ご家族が見守る中で子どもたちは大好きなハンドボールができて幸せやなぁと感じました。
僕のこうした活動を長年サポートしてくださっているトランジスタの皆さん、今回も本当にありがとうございました。
実は今回、みどりハンドボールスクールと僕を繋げてくれたのはいぬっちだった。いぬっち、ありがとうね〜。