ブログ&ニュース ( 三重バイオレットアイリス )

多様性

[ 三重バイオレットアイリス ]

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

大晦日と元旦の2日間だけ、年末年始の休み。1月2日からバイオレットは活動再開。もう今週末1月6日には鹿児島でSONY戦である。つまりJHLが再開する。

11月12日の大阪ラヴィッツ戦以降、約2カ月振りのJHLだ。現在13戦8勝4敗1分の勝点17。いよいよここから痺れる様な試合、毎日が続いていく。今から楽しみでしょうがない。

僕が日頃から大切にしている視点の一つ「多様性」について自分なりの考えを纏めておこうと思う。

バイオレットのメンバー構成は高校生、大学生、社会人と様々。現時点では17名のJHL登録の選手と2名の練習生の合計19名で活動している。シーズン途中では国体では元主将のOG(現在は教員)にも協力してもらった。

言うまでもなく、三重バイオレットアイリスは三重県を拠点に活動するクラブチームなので、こういった多様性を大切にしながら活動している。

高校生が大阪遠征ならぬ、大阪遠足から戻って練習に参加しにきたり、大学生が試験勉強の合間を縫って練習に参加しにきたりと、その辺りはその時その時で柔軟に対応している。それでもチームが目指しているのは日本一であり、世界に通用する選手を育てて行くことに変わりはない。

とは言え、バイオレットの中核をなす選手の多くは高校か大学(所謂ゴリゴリの体育会系を経て)を卒業して、三重バイオレットアイリスに入団してくれた。スカウトを経て入団してくれた選手もいれば、トライアウトを乗り越えて入団してくれた選手もいる。入団してしまえば、みんな同じでスカウトもトライアウトも関係なく、そこにあるのは競争と協力だ。

世間一般の感覚でいうと、このゴリゴリの体育会系の方が特別な存在なのだが、実はこのゴリゴリの体育会系の中に長い間身を置いていると、しばしば逆転現象が起る。自分達の当たり前が全てになってきて、他者からの視点とか社会的な視点とか国際的な視点を持つ事が難しくなってくる。

人間誰でもそうだが、自分のいる環境からの影響は良くも悪くも受ける。自然に「こうあるべき」ということが染み付いてくる。これまでと違う考え方や、変化に対応するのは基本的に、労力を伴うので、あまり良しとされない。「空気を読め」とか「今までもこうだった」からとか言われることが多い。

これは誰でもそうだと思う。僕だっていきなり裸族の村に送りこまれて、今から裸族と同じように過ごせと言われても最初は抵抗感を持つに違いない。

でも僕は「変化」を受け入れたり、自分と「違う考え方」に触れることを大切にしている。「空気を読む」ことも大切なことかもしれないが、それと同じくらいに「空気に流されない」ことも大切だと思う。

話があちこちに飛んでしまったが、話を「多様性」に戻そう。

例えば、大学3年生のこの時期になり、自分の人生と真剣に向き合っていれば今の日本だと「就職活動」が本格的になってくる。練習生として日本リーガーになる為にもチャレンジしたい、でも就職活動も大切にしたい。真剣になればなるほど、本気になればなるほど、悩むわけだ。「両立」「ハンドボール」「就職活動」そこに「正解」も「間違い」もない。世間一般でいう割と普通の感覚に近い練習生の大学生が、自分の人生と本気で向き合って悩んでいる事を、他のメンバーに相談する。そうすると「大学3年生のこの時期になると、普通は就職活動を考えるようになるだぁ」という当たり前の事実に他のメンバーも当事者意識(もしかするといつか自分もセカンドキャリアのこと)を持って気がつく事ができるのだ。ここで言う他のメンバーとはゴリゴリの体育会系を経てきた選手や高校生のことを言う。

年末のチームの忘年会(お酒の場&高校生は言うまでもノンアルコール)に高校生の参加についてもみんなで考えてみる。シーズン途中に合流して練習以外のそんな機会に「参加もしてみたいし。気も使うかな」と高校生の本人は考える。両親にも相談してみる。チームとしても、高校や教育委員会からの意見も仰ぐ。「なかなか無い機会だし、参加してチームにとけ込むことを優先してもいいじゃないか?」「自分達ではよかれと思って親睦の機会を持っても、お酒の場に高校生がいることを他の人が観たらどう思うか?」少しずつだけど選手達がこんな事にまで考えを巡らせられるようになってきた。

こんな事を考えたからと言って、シュートテクニックが向上する訳でも、スタミナがUPするわけでもない。それでも僕はこうした部分と日々向き合っていくことが、競技力向上に繋がっていくと信じている。

最初は「大学生を練習生に?」「高校生を日本リーガーに?」と言う反応が内外にあったことは確かだ。その他にもシーズン途中に伴侶を得て夫婦二人三脚で気持ち新たに日本リーグにチャレンジしてくれている選手もいるし、バイオレットを経てデンマークのプロリーグへ海外移籍した選手もいる。こうした「変化」を受け入れながら、本人の意志と周囲の理解もあって少しずつ歩みを進めてきた。「答え」や「正解」の無いことに対して、みんなで向き合い「多様性」を大切にしながら活動しているのが今の三重バイオレットアイリスというクラブチームなのだ。

年末年始の忙しい中に、選手の職場の皆さんや、県外のシューターズの皆さんが、そんな三重バイオレットアイリスというクラブチームの練習を観に来てくれたことが僕は凄く嬉しかった。

2018年も三重バイオレットアイリスのこと、皆さんよろしくお願いします。



日本選手権2017を終えて

[ 三重バイオレットアイリス ]

日本選手権を終えて鈴鹿に戻ってきた。男女ともに見応えのある決勝だった。男子は大崎電気、女子はオムロンが共に2年連続優勝。

今年もMVIは決勝の舞台には立つことができなかった。昨年に引き続きクラブベストタイの3位入賞、これにて2017年の全ての公式戦を終えた。

初戦、東京女子体育大学。後半中盤まで歯車が噛み合わずに苦しい展開が続いた。後半中盤、怒涛の9連続得点で一気に逆転に成功。そのまま試合を決めた。苦しみながらもなんとか初戦突破を果たした。

準々決勝、SONY戦。前日の課題を修正し、MVI本来のハンドボールを展開。どんな相手でも自分たちの力を出し切ることが何よりも大切。今シーズンSONYに初勝利をあげた。

準決勝、北國銀行戦。初の決勝進出を目指して挑んだこの試合。攻守ともに女王北國銀行が1歩も2歩を上手だった。完敗だった。

日本選手権3試合を終えて、現地で今大会の振り返りを行ってきた。「心技体」の各要素で、どんな取組みをして今大会に臨み、どんな結果だったのか、そしてこの後のJHL再開に向けてどう繋げていくのか、この手の振り返りは初戦敗退したとしても仮に優勝したとしても必要なことだ。

当たり前のことを、当たり前に継続していく。そして当たり前のレベルをさらに高めていく。これに尽きる。

11月中旬に年内のJHL中断し、監督の僕、主将の原と攻撃の中心の多田が、世界選手権出場の為に日本選手権開幕直前まで約一ヶ月チームを離れていた。世界選手権を終えて全員揃って日本選手権に準備できたのは3日間だった。3日間の準備期間では優先順位をつけて、やることを絞って今大会に備えた。

そんな限られた条件下でも選手たちは本当によく頑張ってくれた。梶原BMと共に鈴鹿に残って個人能力を高めることにフォーカスして自力をつけて待ってくれていた鈴鹿組と世界の最前線を体感してきた原と多田。

限られた時間の中でも、試合中、そして試合と試合の間(宿舎で)、移動のバスの中でも、積極的にコミニュケーションをとってくれた。

試合内容には手応えもあれば、新たな課題もある。全てのプレーがうまく行ったわけではない。どちらかと言えば、大会を通して苦しい時間帯の方が多かった。それでも昨年と同じクラブベストタイの3位入賞まで駒を進めることができたのは選手たちのおかげだ。そしてその選手たちをサポートし応援し続けてくださったみなさんのおかげだ。

だからこそ、準決勝の北國銀行戦は自分たちの力を出し切って、決勝に駒を進めたかった。そういう力を出し切ったMVIをシューターズに感じて貰いたかった。翌日のオムロンvs北國銀行の決勝戦を観ていて、尚更そう感じた。

しかし苦しんだ中だからこそ、気づけた部分がある。自分たちがどこを目指して、何の為にやっているのか、MVIの存在意義、そのクラブに関わる人間、選手、スタッフとして自分は何ができるのか、自分たちが大切にしてきた部分ともう一度しっかりと向き合うキッカケをくれたのが今回の日本選手権だった。

【日本選手権2017 MVI最終成績】
MVI 27(11-12 16-9)21 東京女子体育大学
MVI 26(14-10 12-13)23 SONY
MVI 16(8-14 8-11)25 北國銀行
※2年連続3位入賞

MVIは年内30日まで活動を続ける。新年は1月6日のSONY戦からJHLが再開する。連戦の疲労を抜きながら、個人面談、SBT、トレーニング、忘年会、お掃除と頭も心も体も整理の為に2017年年末を過ごしている。

締めくくりとか、終わりという感覚は全くない。いよいよこれから始まるという感覚の方が強い。

とは言え、久しぶりに鈴鹿で家族で食卓を囲んだり、しっかりとチーム&選手のことを考え、それを纏める時間が持てることは幸せなことだなと思う。

2歳の息子が「ハッケヨーイ、ドン!!!」とダッシュしながら相撲の立合いをしてくる。思わず笑ってしまった。



世界選手権2017ドイツ大会を振り返る

[ 三重バイオレットアイリス ]

2017世界選手権ドイツ大会を終えた。11月中旬から国内合宿、スペイン&オランダ遠征、そして世界選手権と約1ヶ月もの間、日本代表チームのコーチとして活動させてもらった。

死のグループと言われた予選ラウンドグループCを3位(2勝2敗1分)で勝ち上がり決勝トーナメントに駒を進めた。日本代表として初のベスト8をかけて前回準優勝国オランダ相手に真っ向勝負を挑んだが延長戦の末に2点差で敗れた。今大会はベスト16で大会を終えた。

オランダ戦を終えて、試合終了数時間後には慌ただしくホテルを発った。監督のウルリク、海外組の亀谷&池原とは現地で別れた。

怒涛のように過ぎ去ったこの1ヶ月の記録を残しておこう。

11月12日(日)JHL年内最終戦を終えて、ANTC(味の素ナショナルトレーニングセンター)で国内合宿開始。この時は育成選手を含む、国内組のみで強化合宿をスタートさせた。

翌日13日には世界選手権に向けた記者会見が行われた。14日の早朝に東京を後にし、僕は一旦鈴鹿に戻った。代表活動で約1ヶ月三重バイオレットアイリスを離れる事になるので、不在時の引き継ぎを行うためだった。

JHL前半13試合の振り返り&ブレイク期間の目標設定、この部分をチームとしても、個人としても明確にしておく必要があった。14日から16日まで3日間で個人面談と不在時に指導に入ってもらう梶原BMとの打合せを重ねた。

フィジカルトレーニングに関しては個人個人にメニューを提示し、ボールトレーニングに関しては不在時のテーマと、各週ごとの目標を梶原BMと詰めていった。ボールトレーニングに関しては、梶原と中心選手3名とが週1回集まって、その週の振り返りと翌週のメニュー作成を行う。こんな感じで1週間を回していく計画を立てた。

1週間に一度はチーム内でのミニゲームや練習試合を組み込み、ゲーム形式のメニューの映像データを随時送ってもらって確認できるように準備した。途中、中部大学富田監督をゲストコーチに招きポストプレーやDFを中心に指導してもらった。

選手個々のコンディションについてはコンディショニングアプリの導入と佐久間トレーナー、木本トレーナーと常に情報共有しながら進めていった。

話を日本代表に戻そう。11月12日から19日までANTCでの国内合宿、そして11月20日から30日までがスペイン&オランダ遠征、そして12月1日から世界選手権2017ドイツ大会開幕。ざっとこんなスケジュールだった。

国内合宿では今回の世界選手権に向けたメンバーに加え、大学生&日本リーグから合計4名の育成選手も加わり約1週間の強化合宿を行った。世界選手権で日本の攻守のベースとなる部分を詰めていく作業が中心だった。

11月19日深夜、国内合宿を終えて空路で欧州へ。スペインのマドリッド空港で海外組の亀谷&池原が合流。これで今回の世界選手権にエントリーしている選手19名全員が揃った。

スペインと言えど、滞在場所はアフリカ大陸。モロッコにあるスペイン飛地領のメリリャでスペイン国際(ウクライナ、スペイン、アルゼンチンとのテストマッチ)を中心とした強化遠征を行った。国内合宿で固めてきた自分たちのスタイルをテストマッチの中で詰めていく日々が続いた。

練習に練習を重ねてコンビネーションを確立させていくと言うよりも、大体こんな感じのハンドボールをすると言うフレームを作っておいて、実戦形式の中で煮込んでいく。一般的な欧州のコーチがとる手法をウルリクもとっていた。

とは言え、本大会直前のテストマッチでは勝利という結果も欲しいというのが本音。ところがこのスペイン国際では一勝もすることが出来なかった。同じ敗戦でもウクライナ、スペイン戦では自分たちのやりたいハンドボールをある程度展開できての敗戦だった。

ところが最後のアルゼンチン戦では相手に日本の攻守を徹底的に研究されて、自分たちハンドボールすらさせてもらえずにフラストレーションのたまる内容での敗戦だった。

【スペイン国際】
日本 24-25 ウクライナ
日本 22-26 スペイン
日本 21-26 アルゼンチン

この時に感じていたのは、本大会も予選ラウンド5試合が進むにつれて日本は研究、対策されるだろう。それを大会中にもう一歩上回る必要があるということだった。

11月27日、スペイン国際を終えて空路でオランダへ。世界選手権に向けての最終調整の地がオランダだった。ここではブンデスリーガ1部のクラブとのテストマッチが組まれていた。このテストマッチが本大会に向けての最後の実戦形式の機会だった。

それにも関わらず、ここでも望んでいる結果、内容には程遠いものになってしまった。ラストテストマッチの後は流石にチーム内に動揺が走った。

でも誰も助けてくれない。今いる選手&スタッフで乗り越えるしかない。こんな時こそ、他者に目を向けるのではなく、大切なのは己に目を向けること。チームが何処に向かっているのかを理解し、その中で自分に何ができるかを考え、整理し、行動に移すことだ。今向きあうべきは自分自身。分かりきってはいるが、こんな時だからこそ、そんな当たり前のことを確認しあった。

【ラストテストマッチ】
日本 23-32 HSG BLOMBERG

スペイン&オランダでのテストマッチ4試合を終えて明確になったことは、自分たちのやろうとしているハンドボール、プレーができないと勝利どころかクロスゲームにさえ持っていけないということだった。

逆に言えば、こうやって守る、こうやって攻めるというベーシックな部分が徹底できている時は日本はちゃんと戦えている。

11月30日にオランダを出発する直前のミーティングで、もう一度自分たちのやろうとしているハンドボールを明確にした。うまくいっている時、うまくいっていない時、それぞれどうなっているのかを整理して、プレーに迷いを無くしてもらうことが目的だった。

この頃、僕はサッカー南アフリカW杯の直前もこんな感じやったんかなぁと、岡田武史監督の元で若き本田圭祐が躍動し、予選グループを勝ち抜いたあの大会をイメージしていた。

ありとあらゆるネガティブな要素が本番前に出てくれて良かった。そこに気づけずに本番に行くよりも、そこを直視する機会持てて良かった。あとは雨降って地固まるじゃないけど、本番では好転していくんちゃうかなぁと考えていた。

11月30日の夕方前には陸路でドイツ入り。ドイツ入りしてからも、ボリュームを調整しながらも、ミーティングとトレーニングを繰り返していた。

自分たち(日本チーム、日本人)の強みは何か、対戦相手に関わらずここだけはブレずに貫こう。こういうスタイルで戦おう。試合の中で困難な局面にぶつかった時に立ち返る原点を明確にした。その上で対戦相手に対して、今回はこうやって戦う。というプランを理解し、実践する。

ここまで出来てようやく、接戦に持ち込むことができる。そして試合の中で、対戦相手が対応してきた時にチームとしても、個人としてその対応を上回ることができれば勝点が見えてくる。1試合の中で勝ち点を取るまでにこの2段階をイメージしていた。

そして予選ラウンド試合が進む中でも、次から次へと日本に対して、対策を練ってくるので、最初に通用していた部分も通用しなくなってくる。その山や変化を5試合の中で乗り越えることができれば予選ラウンド突破が見えてくるのではないかと考えていた。

つまり自分たちのスタイルを出し切るのは大前提、尚且つ1試合の中での変化、大会中の変化にチームとしても、個人としても対応していくことが予選ラウンドを突破する鍵になると考えていた。

死のグループと言われた予選ラウンドグループCの試合日程は下記のように、2日試合をやって1日休みの流れで進んでいく。

12月2日 vsブラジル
12月3日 vsデンマーク
12月4日 No Game
12月5日 vsモンテネグロ
12月6日 vsロシア
12月7日 No Game
12月8日 vsチュニジア

上位4チームが決勝トーナメントに駒を進めることができる予選ラウンド。下馬評では日本は予選敗退が濃厚とされていた。

12月2日、運命のブラジル戦。 日本 28(15-13 13-16)28 ブラジル

前半を3点リードで折り返し、自分たちのスタイルで戦えていた。後半終盤に、中心選手のアモリム&ロドリゲスがこれでもかと個人技で得点を狙ってきた。広げていたリードをみるみる縮まっていった。それでも何とか土俵際で踏みとどまり同点でブラジル戦を終えた。

12月3日、デンマークとの一戦。 日本 18(5-16 13-16)32 デンマーク

前日のブラジル戦を元にデンマークは日本を徹底的に研究し、対策してきた。日本の3-3DF対策からかデンマークは試合開始直後から7人攻撃を駆使してきた。フィジカルコンタクトに優れた大型のポストプレーヤーにライン際を制圧され続けた。ウルリクの母国デンマークに日本は一蹴された。

大会中の変化、対策されると言う現象が今まさに目の前で起きていた。幸いなことに、デンマーク戦の翌日は試合がない。今自分たちにどんな変化が起きているのか。チーム全体で共有し、モンテネグロ戦への準備を進めた。

12月5日、モンテネグロ戦。 日本 29(12-15 17-13)28 モンテネグロ

前半3点ビハインドをひっくり返しての劇的な逆転勝利。試合中の変化に対して、選手が見事に対応してくれた。ウルリク采配的中だった。大型左腕のブラトビッチなど世界的名手を擁するモンテネグロに初めて勝利を手にすることが出来た。タイムアップのブザーともに歓喜の輪ができた。

強豪国モンテネグロに勝利できたことは、素直に嬉しいことだ。しかし、今大会の目標はあくまでも予選ラウンドを通過して、決勝トーナメントで一つでも上の順位に駒を進めること。ブラジルに引き分けることでも、モンテネグロに勝利することでもない。

予選ラウンドはあくまでも5試合終わった時の勝点と順位が全て。目先の勝敗に一喜一憂してはいけない。一刻も早く次のロシア戦に意識と行動を向ける必要がある。試合会場から宿舎に戻るバスの中で「目の前のことに集中する」この事を全員で確認しあった。

12月6日、ロシア戦。リオ五輪優勝国の女王ロシア。 日本 28(11-13 17-16)29 ロシア

世界チャンピオン相手に真っ向勝負を挑み、何度離されそうになっても懸命に食らいついていったがあと一歩及ばす。世界王者を土俵際まで追い詰めたが、惜しくも1点差での敗戦。

ここまで4戦を終えて1勝2敗1分勝点3。予選ラウンド最終日のチュニジア戦に勝利すれば自力での予選ラウンド突破が決まる。モンテネグロvsブラジルの結果次第3位通過か4位通過が決まる。そんな条件下でのチュニジア戦だった。下馬評では日本有利の声が聞こえてきたが、欧州各国で活躍する選手を多数擁するチームがチュニジアだった。中でもCBチェバ(チュニジア代表として1000得点)警戒が必要だった。

この時に頭に浮かんだのはラグビーのエディーJAPANだった。W杯で世界の列強を薙ぎ倒したものの予選リーグを突破できなかった。おりひめジャパンは石に噛り付いてでも決勝トーナメント行くぞって人で勝手にイメージしていた。

12月7日、天下分け目のチュニジア戦。 日本 31(15-6 16-7)13 チュニジア

試合の序盤こそ、チェバに得点を許し拮抗した展開だったが、終わってみれば18点差での圧倒的勝利。メンタル的に非常にプレッシャーの掛かる試合だったが選手は自分との戦いに打ち勝ってくれた。

日本の試合後に行われたモンテネグロvsブラジルの試合が引き分けだったこともあり、2勝2敗1分で日本とモンテネグロが勝点5で並んだが、直接対決を制した日本がモンテネグロを上回り、3位で予選ラウンド突破を決めた。

【世界選手権予選ラウンドグループC】
日本 28(15-13 13-16)28 ブラジル
日本 18(5-16 13-16)32 デンマーク
日本 29(12-15 17-13)28 モンテネグロ
日本 28(11-13 17-16)29 ロシア
日本 31(15-6 16-7)13 チュニジア
※5戦2勝2敗1分 勝点5 3位通過

12月9日、決勝トーナメントの行われるマグデブルグへ電車移動。

決勝トーナメントの相手は前回大会準優勝国のオランダに決まった。マグデブルグへ移動直後からオランダ戦への準備が開始した。連戦からの疲労に配慮しながら、オランダ戦に向けてのミーティングとトレーニングを重ねていった。

勝敗に限らず次の試合があった予選リーグから、負けたら終わりの決勝トーナメントがいよいよ始まる。世界の強豪国はここからギアチェンジしてくる。この舞台でなければ体験できない本当の闘いがいよいよ始まる。

12月11日、オランダ戦。 日本 24(10-10 10-10 1-3 3-3)26 オランダ

前半、後半では決着がつかず延長戦まで縺れる大接戦だったが、2点差での敗戦。予選ラウンドで機能していた日本の攻撃も徹底研究されている様子だった。前回大会準優勝国相手に堂々たる戦いを繰り広げたが日本はここで敗れた。

【決勝トーナメント】
日本 24(10-10 10-10 1-3 3-3)26 オランダ
※ベスト16で敗退

11月12日の国内合宿から約1ヶ月、今回の世界選手権に向けてのこの日本代表チームに最も遅く合流したのが僕だった。チームの目標とその中での自分の役割を明確にすることからのスタートだった。約2週間の準備期間で求められていること(これはスタッフにも選手にも直接聴いた。)出来ること、出来ないこと、、優先順位の高いこと、これらは何なのかを考えて動いた。

自分が任されるトレーニングの10分なり1時間だったり、ミーティングで使う分析動画だったり、ウルリクの意図を選手にいかに伝えるかだったり、選手の声をウルリクに届けるかだったり、練習でも試合でも、自分の関わるこの仕事が世界選手権という最高の舞台の何処かに出てくる。日本の未来に直結していると思ってこの仕事をしていた。

準備期間の2週間、大会期間の2週間で僕が何よりも意識していたのは選手のコーチャビリティー(コーチングを受ける能力)を高めて行くことだった。

ウルリクがどんなゲームプランを持っていて、その中で自分はどんなプレーをするのか、ウルリクが出した指示の意図は何なのか、練習メニューやミーティングは試合のどの部分を抜き取っているのか、そんなことを常に構造的に理解して事に当たる。

もっと言えば、今回の大会を終えて、それぞれの国、リーグ、チームに戻った後が大切だと考えていた。所属チームのスタッフと共に今回掴んだ世界との距離感を元になりたい自分に近づいていけるようにと思ってアプローチしていた。

もちろん日本代表チームは次回の熊本世界選手権や東京オリピックやそれ以降も続くわけなのは間違いないが、今回の世界選手権、代表コーチというのは、もしかしたら一生で最初で最後かもしれない、そういう思いで今回の仕事をしていた。

日本のハンドボール界において本流とは程遠いアウトローの僕にとっては日本代表とか世界選手権という場はそれくらいのものだった。

今回の日本代表チームのどんなプレーが通用し、どんな選手が活躍できるのか、そして世界はそれをどのように対策してくるか、事前に予想していた範囲内のこともあれば、想像を超えていた部分もあった。

小学生、中学生、高校生、大学生の頃からやってきた1対1のフェイントや牽制をしながらのDFは日本人が世界で戦う上での武器になることが改めて分かった。

そしてそれを出し切れるメンタリティと攻守において接触されてもプレーしきれるフィジカルの強さは言うまでもなく必要だ。

7人OFとそれを凌ぐDF、英語は標準装備だなと感じている。

この1ヶ月掴んだ世界との距離感そして得た経験を、三重バイオレットアイリスの選手たち、そして講習会などでこれから関わるであろう若い選手にしっかりと還元していこう。

今回素晴らしい機会をくださった日本ハンドボール協会、ともに戦った日本代表チームのスタッフ&選手、日本代表チームを応援してくださった皆さん、何より1ヶ月もの間送り出してくれた三重バイオレットアイリスの選手&スタッフ、そして家族。

本当に本当にありがとうございました。



日本代表チームのコーチへ

[ 三重バイオレットアイリス ]

2017年11月13日に東京で、おりひめジャパン(女子ハンドボール日本代表チームの愛称)のドイツ世界選手権の記者発表および壮行会が行われた。

すでに日本ハンドボール協会(以降、JHA)やネットニュースからもリリースがあったが代表チームのコーチとして今回の世界選手権に帯同させて頂くことになった。

日本リーグのブレイク期間、そして世界選手権の開幕直前のこのタイミングで代表チームのコーチに就くことの意味、役割を噛み締めているところだ。

JHAの今年度の新会長、新役員が決まり、そこから一気に事が動き出した。11月に入ってから正式にJHAから三重バイオレットアイリス側(以降、MVI)に代表チームコーチのオファーがあった。

そこからJHAとMVIとで協議を重ね、日本リーグの年内最終戦が行われる11月12日の直前にようやく基本合意に至った。

広島メイプルレッズ、オムロンとの連戦を終えて、年内最後のホームゲーム、大阪ラヴィッツ戦への準備を進め、集中力を高めていく中で、MVIの選手たち代表チームコーチの件を自分の口から説明した。

非常に難しいタイミングだったが、11月12日の大阪ラヴィッツ戦の試合後には東京入りして、日本代表に合流し、13日には記者発表&壮行会が予定されていたのでオムロン戦と大阪ラヴィッツ戦の間にMVIの選手たち伝えるしかなかった。先週末の大阪ラヴィッツ戦までは日本リーグに集中していて、代表コーチの話題に周囲がいくら触れても、意識的に大阪ラヴィッツ戦のことだけを考えていた。

代表チームに合流して直ぐにスタッフMTG。チームの目標と自分の役割を確認した。そして昨日の記者発表、壮行会を終えて今は一度、東京を離れて鈴鹿に戻ってきてる。

記者発表を終えて、一度鈴鹿に戻ることは事前にJHAに了承済み。そして代表選手たちにも一度チームを離れることと、その理由を伝えさせてもらった。

あまりにも急な話でもあり、僕が今回の活動で約1ヶ月、MVIを離れるためにその期間の準備が必要だからだ。チーム&個人の目標設定、活動プランの共有など、チームを離れる期間の引き継ぎを済ませてから17日に代表チームに再合流の予定だ。事前に了承済みとはいえ、代表活動スタートの大切なこのタイミングで、一度鈴鹿に戻ることに理解してくださった代表スタッフ、代表選手にはこの後の17日から自分の仕事で必ず返す。

日本リーグのブレイク期間のこの1ヶ月半の大切は嫌と言うほど理解してる。世界選手権が終わって帰国すれば直ぐに日本選手権、そして日本リーグが再開する。プレーオフ争いの真っ只中、そして現場スタッフが監督の僕一人でコーチ不在というMVIにとって今回の話は大きな決断だった。代表コーチの話=名誉なこと=はい分かりました。そんな簡単なものではなかった。

MVIはまだ1シーズン、1ゲームが勝負の時期。クラブとしての長期計画は持っているが、それと同時に目先のことに拘りまくっている時期でもある。

大きな視点で捉えた時に指導者の僕自身が世界の最前線を感じて、世界とのモノサシを手にいれることで選手にも、クラブにも、三重県にもプラスにできる。

どちらの視点も必要だ。そしていつも答えはシンプルに。答えは自分の中にある。

「指導者である僕自身が誰よりも成長するために力を注ぎ、誰よりも学ぶ。誰からも学ぶ。」

いつも監督係の僕をいじり倒してくれているMVIの選手たち、日本リーグのブレイク期間のこの時期にチームを離れることなる。少しずつ自立してきたとは言え、初めて1ヶ月もチームを離れることなって不安な部分も少なくないと思う。(大嫌いな監督係がいなくなって更に伸び伸びしちゃうかもしれへんけど。)ほんまにしばらく留守にしますがチームをよろしくな。

僕が不在の期間は梶原BMにハンドボールトレーニングを任せることになる。スポンサー営業で忙しいこの時期に「日本のために行ってこい」と背中を押してくれたのは今でもフルスロットで動いてくれている梶原を始めとするMVIのスタッフだった。

そして、ただでさえ、寝る時以外はハンドボール、ハンドボールの生活の中で家族との時間も殆ど持てていないのにも関わらず「行っておいで〜」といつもの調子で送り出してくれた妻。

東京から鈴鹿に戻る新幹線の中で、このブログを書いている。

そう意味を含めて、「日本リーグのブレイク期間、そして世界選手権の開幕直前のこのタイミングで代表チームのコーチに就くことの意味、役割を噛み締めているところだ。」ということなのだ。

何よりも誰でもそう簡単に巡ってくるチャンスではない。全身全霊を注いでチャレンジするだけの価値が、日本代表チームや世界選手権にはある。日本代表や世界選手権とはそういう舞台だと思う。そしてそれと同じだけのやり甲斐と未来がMVIにもある。

成功を信じて全力でチャレンジするのみである。



日本リーグ前半戦13試合を振り返るの巻

[ 三重バイオレットアイリス ]

無事2017年内の日本リーグ13戦を終えた。ここまで13戦8勝4敗1分(勝点17)だ。

シーズン前に右サイドの池原がニューコビン(デンマーク)へポストの角南がSONY(日本)へ移籍した。それぞれ更なる高みを目指して新天地で活躍してくれている。

ハンドボールをこの地球の何処かで続けていれば、またいつか何処かで一緒にプレーする時が来るかもしれない。それが同じリーグで対戦相手になるのか、再びの丸を背負って同じチームなるのかは誰にもわからないが、地球の何処かでハンドボールを続けてくれていることだけで嬉しいし、刺激になる。

シーズン前は、どこに行ってもこの二人のポジションをどうするのか?そればかりを聞かれた。シーズン前に準備していたことは、右サイドはルーキーの島居と2年目の佐野、ポストは近藤、原、森本の3人をローテーションさせて行くことだった。3人ともこれまではポスト以外のポジションを主戦場としていた。

右サイドもポストもそれぞれシーズン前に準備してきた中でしっかりと成果を出してくれている。平均22得点は僅かにではあるが、昨シーズンを上回っている。全ての試合、全てのプレーが上手くいっているわけではないが、それは昨シーズンも同じ事、試合ごと、プレーごとに何かを感じ、一歩ずつ成長してくれている。

前半戦の序盤に主将の原が、中盤には左サイドの河嶋が怪我で戦列を離れる時期があった。共に日本代表選手で、共に攻守の要だ。そんな緊急事態にもルーキーの中田と加入2年目の細江が大車輪の活躍をしてくれた。チームにとっては緊急事態だったが、この若い二人にとっては大きなチャンスだった。5月の社会人選手権以降の準備期間で中田も細江もいいトレーニング&テストマッチを積んでくれていたので、今回のこの活躍は必然だろう。公式戦でしか経験する事ができない緊張感が彼女たちを成長させてくれている。

前述の島居や佐野、そして中田、細江など若い選手が思い切ってプレーできるように、要所を締めてくれた万谷、GK高木、加藤。そして爆発的な得点力で攻撃を牽引してくれた多田。彼女たちの活躍は言うまでもない。チームの幹となる彼女たちは昨シーズンの修羅場(最終戦までもつれたプレーオフ争い)をくぐり抜けているので、タフなゲーム展開でも自分たちで乗り越えていける力が備わってきた。

前半戦の終盤の山場になった広島メイプルレッズ、オムロンとの連戦。ここでは森本が足首の負傷からこの2試合を欠場。ここはチーム全体で乗り越えてくれた。

幸い、原も河嶋も森本も徐々にコンディションを戻してきている。年内最後のホームゲームでは3人いい状態でスタンバイしてくれていた。年明けの日本リーグでは経験豊かな選手たちの活躍が必要不可欠になってくるだろう。

GK花村も相変わらずの安定感でチームに落ち着きをもたらしてくれているし、7mt阻止でもリーグ上位につけてくれている。ルーキーの林もいいコンディションをキープし続けてくれている、2戦目の広島メイプルレッズ戦の後半での活躍は光るものがあった。

怪我でまだプレーはできていないが、GK岩見もルーキーの水谷も、ベンチに入ればベンチの中から、ベンチをは外れてもベンチの外からチームをサポートし続けてくれている。毎日、怪我ともチームとも向き合いがらが前に進んでくれている。焦らずに着実にコンディションを整えていってほしい。

そして10月末にチームに合流した現役高校生のGK舟久保もチームに新しい風を吹かせてくれている。チーム最高身長の彼女には伸びやかに、スケール豊かに成長して行ってもらいたい。

サテライトプレーヤーの伊藤も林(はな)もホームゲームの際はチームの裏方仕事を一生懸命手伝ってくれている。

人の出入りもあり、怪我などで決して万全の状態とは言えない中で、13戦を終えてこうしてしぶとく勝点を積み上げることができているのは選手たちの頑張り、そして献身的にサポートし続けてくれたスタッフ、何よりも圧倒的なホームアドバンデージにも繋がっているシューターズの紫魂の大声援。(ほんまに、ほんまに、力になっている。)三重バイオレットアイリスに関わる全ての人の力が結集しての13試合、13時間、勝ち点17だと思う。本当にありがとう。

とは言っても、今シーズンもプレーオフ争いはご存知の通り大混戦。毎試合のように順位変動がある。ここからが本当の戦いが始まる。自分たちにコントロールできるのは自分たちの試合のことだけ、目の前のことを楽しみに、集中し続けることこの事が何よりも大切な事。

次の日本リーグが2017年1月6日のSONY戦。そしてその前に日本選手権。前半戦をしっかり振り返って、チームとしても個人として、次のテーマに向かって進んでいこう。その日の練習、その日のワンプレー、その日の生き方、その積み重ねが勝負の瞬間に滲み出てくる。



JHL前半6戦終えて

[ 2017/2018 シーズン三重バイオレットアイリス ]

9月も終わろうとしている。1ヶ月ぶりのBlog更新。

8月末に開幕した日本リーグもあっという間に6試合を終えた。つまり1シーズンの1/4を終えたことになる。

ここまで6戦を終えて4勝2敗、広島メイプルレッズとの開幕戦に26−28の2点差で敗れ、黒星スタート。そのあと、アランマーレ、大阪ラヴィッツ、飛騨高山BB岐阜戦と3連勝。

どの試合も簡単な試合ではなかったが、9月17日のホームゲームでの飛騨高山BB岐阜との一戦は、台風18号の影響で無観客試合になった。試合開始直前まで、バタバタしていた中でのこの一戦を苦しみながらも勝利することができたことは非常に価値がある。

そして前半戦の山場になった先週末の員弁でのオムロン、SONYとの2連戦。オムロンにはDFで粘りに粘って、17−15で勝利。ちなみに日本リーグではオムロン戦初勝利。翌日のSONY戦は前半の6点ビハインドが終盤まで響き、15−21で敗戦。5連勝ならずだった。  

MVI 26-28 広島メイプルレッズ
MVI 28-22 アランマーレ
MVI 27-22 大阪ラヴィッツ
MVI 20-14 飛騨高山BB岐阜
MVI 17−15 オムロン
MVI 15-21 SONY

3戦終了後にキャプテン原の離脱(膝の手術)もあった中で、チーム一丸となって粘り強く戦い抜いてくれた。毎試合、多くの選手がコートに立ち、自分の持ち味を思う存分出してくれた。

9月は4試合、三重県でのホームゲームが開催された。どの試合も最高の試合会場でハンドボールをさせて貰うことができた。シューターズの大声援、それとリンクしたMC、紫色に染まったアリーナ席、試合前の太鼓のパフォーマンス、本当に最高だ。こんなにも早く、日本でこんな雰囲気でハンドボールができるとは思っていなかった。先週末の員弁での試合前のセレモニー(暗転させて)は痺れたね。

さて日本リーグは一旦ブレイク。10月初旬は愛媛国体である。愛媛国体に向けていい準備をしていこう。



公認スポーツ指導員養成講習会&天理大学サマーキャンプ

[ 三重バイオレットアイリス ]


8月2日〜6日までの5日間、公認スポーツ指導員養成講習会と天理大学のサマーキャンプの受入れを行っていた。

公認スポーツ指導員、つまりハンドボールコーチを養成する講習会である。MVIにも将来指導者志望の選手が何名かいるので、現役選手ではあったが3名の選手が受講した。三重はもちろんの事、岡山、大阪、和歌山、京都、神奈川など全国から受講生が集まってくれた。

そして全く同じタイミングでMVIの闘将万谷の母校、天理大学がサマーキャンプにも来てくれた。天理大学は普段、選手自身がチーム運営やトレーニングメニューを考え活動している。そんな天理大学をメインのデモンストレーターにしながら、全国から集結したコーチ陣と共に天理大学のレベルUPを図っていくこと大きな柱にしながら5日間で合計40時間のプログラムを作成した。

もちろん夜間練習や週末の指導実習などはMVIの選手達もトレーニングも兼ねて参加してくれた。

コーチの役割、コンプライアンス、レフリング、傷害予防など、基本的な部分を抑えながら3プラン(チームプラン、ゲームプラン、トレーニングプラン)のプランニングについて理解を深めてもらった。競技力向上のために心技体、この3分野のトレーニングについて、どのように期分けし、どのようにタイムバランスをデザインしていくのか。攻守の個人技能、集団技能の基本的な考え方、そしてそれをどのように実践させていくのか。

講義では目標と目的、そしてスローガン。チームとは?グループとは?マネジメントとは?運営と経営の違いとは?まずは自分なりの考えを纏めてもらい、それを数名でシェア、そして全体でシェア、こんな流れで進行していった。そしてこの3プランをどのように評価し次のプランニングに発展させて行くのか?KGIやKPIにも触れながらお話させてもらった。

実技でも、数的同数、数的有利不利、シュート局面=セーブ局面での基本的な考え方を天理大学に落とし込んだ。夜間のMVIとの合同練習で、ストーリー性のあるトレーニングメニューの組み方と進め方とその逆のミックス系のメニューの組み方と進め方を感じ取ってもらった。

3日目までは天理大学とコーチ陣にとってはインストールの機会を多めに設定し、残りの2日間はアウトプットの機会をふんだんに盛り込んだ。コーチ陣を3チームに分けての指導実習と個人の指導案をプレゼンテーション。

最終日の指導実習にはMVIと天理大学の混成チームを2チーム作っての実戦。それぞれチームスタッフになって試合前のMTGの進行からウォーミングアップ、試合でのベンチワーク、試合後の振返りまでを経験してもらった。ポジション、メンバー、戦術&戦略、ベンチワークなど実戦の中でしか感じとる事ができない部分にも触れてもらった。

コーチ陣の皆さんは本気で各テーマと向き合い、本気で準備し臨んでくれたいた。中には指導実習後やプレゼンテーションの冒頭、目に涙を浮かべている方もいた、それくらい本気で臨んでくれていた。

僕は「自分が関わっている選手たちがこの競技(ハンドボール)の未来なのだ」そういう想いでこの仕事をしている。今回の講習会の一番最初にもそんな話をさせてもらった。ハンドボールに関わる全ての指導者が「一隅を照らす」そんな想いでハンドボール、選手と関わっていけば今より悪くなる事はない。僕はそう信じている。

それにしても5日間で約40時間のプログラムを自ら組んで、講義&実技&進行をしてという機会はなかなか得難いものだった。(傷害予防、レフリング、GKの部分はさすがに専門家に手伝ってもらったけど)

Facebookには前職時代の友人も少なくないが、言ってみたら「相続セミナー講師養成講座」あるいは「吉澤塾」を5連投みたいな感じやった。

たぶん前職時代にこの「相続セミナー講師養成講座」の講師を経験していなければ、今回のこの講習会のプログラムは思いつかなかったし、進行役も出来なかったと思う。

まあ、こういうのを「人間万事塞翁が馬」とでも言うのだろうか。


さてさて、母校天理大学と5日間を共にし、指導実習を兼ねた天理大学とのミックスゲームでも元気はつらつのプレーを魅せていた万谷。この人の自然体、泰然自若とした感じは、これはこれでよし。



7月のあれこれと徳島遠征と日韓定期戦

[ 三重バイオレットアイリス ]

7月が終わろうとしている。7月もあっと言う間だった。

大学生男子にチャレンジさせてもらった中部大学との合同練習、これは月末の徳島遠征、BSV(ドイツ)との一戦への試金石にしたかった。心や頭のトレーニングを目的としたSBTやライフスキルセミナー。池原(デンマーク・ニューコビンへの海外移籍)の送別会。池原は7月19日にデンマークへ旅立っていった。三重、岐阜、愛知、奈良、石川の小学生ハンドボーラーが鈴鹿に集結したバイオレットJr.カップ。バイオレットの選手もちびっ子ハンドボーラーと交流させてもらった。HC名古屋、飛騨高山BB岐阜、そして三重バイオレットアイリス、日本リーグ所属の3クラブがリーグ戦形式で対戦した東海クラブダービー。

そして7月最終週の徳島遠征。昨シーズンドイツ・ブンデスリーガ4位&ドイツポカールチャンピオンのBSVとのテストマッチを元にしたものだった。今鈴鹿でトレーニングを重ねる選手の7割がルーキーを含めた入団2年目未満の選手だが、若いメンバーでどれだけBSVにやれるのか?非常に楽しみにしていた。

MVI 22(15-16 7-13)29 BSV

前半8分6−2と好調な出だしの後、BSVはタイムアウト。おそらく序盤はMVIを舐めていたじゃないかと予想する。

このタイムアウトからが本当の勝負だった。オフシーズン中の欧州のチームはテストマッチでは勝敗ど返しで新戦術を試してきたり、日本には観光気分で来ている、経験的にそんな事は理解している。まずはこっちが先制パンチ喰らわせて、相手を本気にさせてからが勝負だと思っていた。

タイムアウトの後、本気スイッチの入ったBSVが襲いかかってきた。その後、一進一退の攻防が続き前半を終えて15-16の1点ビハインドでハーフタイムへ。後半の立ち上りから10分近く得点が奪えずに一気に10点近いリードを許してしまった。そのあと何とか攻撃を立て直して、追い上げるが逆転するには及ばす7点差での敗戦だった。

大型選手に対してこういうプレー&選手は通用すると仮説立ててこの2年間MVIを強化してきた。最初に通用したプレーに対して相手が対応してきた後に、次はこういうプレー(解決策)が必要・有効ではないか?そんな事を感じ取る事ができたBSVとの一戦だった。手応えと課題と手に入れる事ができた。それにしても選手は本当にいい表情でハンドボールしていた。一人のアスリートして純粋に強い相手と一戦交える。こんなに嬉しいことない。

徳島遠征を終えた翌日ではあったが、日韓定期戦を観戦してきた。

MVIから日本代表として選ばれている選手がどれくらい国際舞台で活躍できるのか?また国、性別、チームをを問わず国際舞台ではどんな選手が活躍し、どんなプレーが通用するのか?ナショナルフラッグを背負ってプレーする選手はどんな人間なのか?男女の国際試合を通してそんな事を観てきた。男女両チームの戦術や戦略、大会運営や会場の盛り上がりなどをライブで感じたかったのは言うまでもない。

MVIの主戦場は現時点は日本国内ではあるが、池原がデンマークに旅立ち、日本代表としても、原、多田、河嶋が活動している。鈴鹿で腕を磨いている選手の中にもいずれは自分も世界の舞台でと野心を持つ選手も少なくない。

国内で活躍することは勿論のこと、その先を見据えて個人・チームを強化していく。そういう視点の必要性を改めて感じた徳島遠征と日韓定期戦だった。

明日からは8月、指導者講習会、大学生チームの夏合宿の受け入れ、国体東海予選、そしていよいよ日本リーグが開幕する。



バイオレットJr.cup

[ 三重バイオレットアイリス ]

少し前の話になるが、7月上旬にバイオレットJr.cupを開催した。

三重県、奈良県、愛知県、岐阜県、石川県から小学生ハンドボーラーが鈴鹿に集まってくれた。

昨年に引き続き、バイオレットの選手が各チームについてベンチに入ったり、昼食を共にしたりと、子供たちの輪に入った。

今回はバイオレットの選手がそれぞれ大切にしている事や、小学生のみんなに大切にして欲しい事、知っておいて欲しい事を、各担当チームのみんなにお話させてもらう機会を設けた。

バイオレットの選手たちも1週間、どんな事を子供達に伝えるのか?どんな事を大切にして欲しいのか?って本気で考えて準備してくれた。

小学生のみんなは10分から20分の時間、バイオレットの選手からの話を真剣に聴いてくれた。

40分近く、日本一への熱い想いを小学生相手に真剣に話してくれた選手もいた。

目標設定の大切さを小学生の目線に合わせて噛み砕いて話してくれる選手もいた。

「怪我をしてしまって、今はこういう想いだ。」

「トライアウトを受けてバイオレットに加入して今は練習生だけど、こんな気持ちで頑張っている。」

「日本代表として、こんな想いで頑張っているよ。」

自分の想いや考えを整理して、自分の言葉で誰かに伝える。TOPリーガーとして、子供たちに自分の言葉で語りかける。

凄く大切な事だと思う。子供たちとってもバイオレットの選手たちにとっても素晴らしい機会になったのではないだろうか。



東海クラブダービー

[ 三重バイオレットアイリス ]


東海クラブダービーを無事に終えることができた。

昨年度から梶原BMと共に温めていた企画だった。日本リーグに所属している東海3クラブ(MVI、HC名古屋、飛騨高山BB岐阜)が切磋琢磨し東海地区からハンドボールを盛り上げていこうと、今回3チーム総当たりのリーグ戦を実施した。

MVI 24-24 HC名古屋
MVI 16-10 飛騨高山BB岐阜
HC名古屋 26-18 飛騨高山BB岐阜

1勝1分でMVIとHC名古屋とが並び、HC名古屋がMVIを得失点差2で第1回の東海クラブダービーを制した。

今回の東海クラブダービーを終えて、少し振り返ってみよう。

まず、試合結果に対して。1勝1分得失点差+6。全ての試合で勝利、全ての大会で優勝を目指している以上、無敗で大会を終えたとは言え、この結果に満足することはできない。

この大会のハイライトととなるのがこのシーンかもしれない。HC名古屋戦、後半の相手にリードを許す苦しい展開を潜り抜け、終盤に何とか追いつき、逆転に成功した。残り3秒24-23と1点リード。HC名古屋はここでタイムアウトを請求。タイムアウト明け、ロングシュートを防ぎきれずに24-24の同点でこの試合を終えた。HC名古屋のファイナルアタックを守り切ることができなかった。

試合内容で評価できる部分はあったとしても、僅かな差が勝敗を分ける。勝負の厳しさを痛感した。

とは言え、ルーキーを中心に普段プレータイムの少ない選手が今回は主役となり、60分のフルマッチを2本戦えたことは大きな収穫だった。練習やミニゲームでは経験できない、実戦特有の緊迫感が今回の東海ダービーには存在した。


可能な限り公式戦に近づけた運営だったことが大きな要因だろう。試合前のオフィシャルMTG、レフリー、3回のタイムアウト、試合前のアナウンス、有料観客、ユニフォーム、様々な要素が絡み合って公式戦にかなり近い臨場感、緊迫感を生み出していた。

これがビブスで試合、レフリーもそれぞれのチームから、30分一本みたいな感じであれば、ここまでエキサイティングなゲームにはなっていなかったではないだろうか。

梶原BMと常々、共有していた60分のタフなゲームを数多く経験することが何よりの選手&チームの強化につながる。これを具体化したのが今回の東海クラブダービーだ。

自分たちの価値を、自分たちで作り出していこう、高めていこう。そんな想いで今回、一緒に東海クラブダービーを共に盛り上げてくださったすべての皆さんに感謝します。

そして何よりも、ゼロからの企画にも関わらず、大きな事故や怪我もなく、東海クラブダービーを一つの形にしてくれた梶原BMに心から感謝します。



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