ブログ&ニュース ( 2015年8月 )

「Made in Suzuka」

[ ~2022 三重バイオレットアイリス ]

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気づけば8月最終日、三重バイオレットアリスの監督になってから4ヶ月が経過しました。

5月の社会人選手権を終えて、大会後に改めてこのチームの現状把握し、重要課題について考えてみました。その重要課題の一つが「栄養補給」「からだ作り」などのフィジカル的な部分でした。

「世界に目を向けよう」「日本一を目指そう」「パーソナリティを高めていこう」とメンタル的な部分は監督に就任してから選手にも、クラブに関わる人たちにも事ある毎に伝えてきました。「こういうハンドボールを展開していこう」という技術的、戦術的な部分に関しても社会人選手権前からそんなに変わっていません。

所謂「心技体」の「心」と「技」の部分は社会人選手権前から少しずつアプローチしてきて現在も継続しています。「体」の部分ですが、チームに合流してから、選手に「ここは社会人選手権後にじっくりと取り組んでいく、今はこれまで自分達がやってきたやり方を継続してもらっていいよ」と伝えてありました。

大会終了後の6月からウエイトトレーニングのフォーム作りに着手。最初は自重からのスタートでした。少しずつ重量を上げていき、3週間程かけて正しいフォームを身につけてもらいました。6月28日から1サイクル目の第一週がスタートしそこから5週間かけて、ウエイトトレーニングの重量を上げていきました。同様に、クレイジーラン、ジャンプ、クイックランなども8月15、16日の国体予選に向けてトレーニング強度を上げていきました。トレーニング導入前と導入後(国体予選直前)とでフィールドテスト、形態測定を実施しました。

フォーム固めを行い、トレーニング頻度を保ち、トレーニング強度を少しずつ上げていく、大会前に過去最強の自分になる。しかも狙って。測定結果が数字で出てくるので、自分の成長を目に見える形で実感できます。

「体」についてのトレーニングとその評価に関して上記のような形で実施しました。

これらのフィジカルトレーニングに加えて、「栄養補給」という観点から、専門家に協力してもらってきました。まずは選手全員の食事調査を栄養士に依頼しました。鈴鹿大学短期学部の栄養士の先生と研究室の学生さんに、選手の食事内容を調査し改善案を出してもらいました。

経済的にもあまり負担なく、簡単に必要な栄養素をとることの出来る料理のレシピを教えてくれたり、食材の組み合わせを教えてくれたりと、なんならアスリートとしてだけでなく、女子力まで上げてもらっちゃっています。しかし、毎日毎日練習後に自炊ってのは体力的にも、精神的にも結構な負担…

選手達も、身体作り&食事の大切さは理解しているのですが、フルタイムで仕事をして、夜の練習が終わって、帰宅してとなると、なかなか最高のタイミング&内容で食事をとることが難しい。トレーニング直後の30分以内がリカバリーのゴールデンタイムなのに、栄養補給が出来ていない、このままでは改善されることはない、ここが課題でした。

何とか練習直後に栄養補給を出来る環境を作ってあげたいなぁと。選手の身体に入るものは、安全で安心な食材がいいなぁと。じゃあどうするかなと。あれやこれやと考えていた時に選手に「おふくろさん弁当は手作りですよ。しかも美味しいです。」と教えてもらいました。

縁があって、おふくろさん弁当の社長さんにチームの目標や現状、そして社会人選手権以降の取り組みについて説明する機会を頂きました。まずは7月中、週2回を目安としてテスト的におふくろさん弁当を導入しました。栄養満点のおかずメニューを作ってくださいました。白いご飯は選手が自宅で炊いておきます。これで練習直後のゴールデンタイムに栄養補給が可能になりました。お弁当の内容についても、選手からの希望や栄養士からのアドバイスも盛り込み、毎回アレンジしてくださいました。

このおふくろさん弁当の食材は地元の農場・鈴鹿ファームでとれた野菜ばかりです。僕と同世代くらいの農家の方が心を込めて野菜を育てて、収穫してくれています。その鈴鹿産の野菜を、栄養士のアドバイスの元、おふくろさん弁当が手作りで料理して、選手は練習直後に食べる。

食事とは「人を良くする事」と書きます。

鈴鹿の土で育ち、鈴鹿で収穫された食材を、鈴鹿の栄養士&学生がアドバイスをして、鈴鹿の手作りお弁当屋さんが料理して、鈴鹿を拠点に頑張っている選手がその手作りお弁当を食べて身体作りをする。そして鈴鹿から日本一、世界を目指している。

この取組みに関わってくださっている方には、クラブの理念や目標を何度もお話させて頂きました。

「自分達が関わったもの(育てた野菜、作った料理)が選手の身体に入って、日本一を一緒に目指せると思うとワクワクしますね。」と鈴鹿ファーム&おふくろさん弁当の皆さん。

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「これまで何となく、栄養士になる勉強をしてきたけど、トップチームの栄養プログラムに関わる事が出来るなんて…もっと真剣というか本気で色々と考えてみたくなりました。」と栄養士の卵の学生。

「学生達の目の色が変わってきました。アルバイトを少し減らしてでも、バイオレットの選手達と色々やってみたいと話してくれる子が出てきましたよ」と栄養士の先生。

鈴鹿の皆さんとのこの取組みを選手&クラブに経済的に負担をかけずに継続し、応援して下さる方にもメリットを還元できるように、成果で応えられるように!!!

選手には「もう自分一人だけじゃ身体じゃないよな。コートに立つ為に何人の人が関わっているから考えてみよう」と話しています。

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そして身体作り&栄養に関する取組みを自分達の中だけにとどめるのではなく、三重県内のスポーツをしている子供達&親御さんにも知ってもらいたいと考えています。スポーツ系のフリーペーパー「Lets」で選手達が、この取組みを毎月紹介していますよ。

年一回のクリーン活動だとか、年一回のハンドボール教室だとか、そういうのも必要なのかもしれません。しかし実施すること自体が目的になってしまっていないだろうか?とずっと疑問に感じてきました。地域密着とか地域貢献とかこのご時世何処でも耳にするし、目に触れますよね。

もっと本質的な部分で「地域と共に活動する。地域と共に日本一、世界を目指す。」というのはこういう事じゃないのかなと思っています。

三重バイオレットアイリスは三重県鈴鹿市を拠点に活動するクラブチームです。そして三重バイオレットアイリスは「Made in Suzuka」です。

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そしてそして今回のこの取組み自体を鈴鹿マガジン9月号で、特集していただきました。

しかもラジオ出演します。9月5日(土)、9月12日(土)、9月19日(土)の3回、それぞれ17時から鈴鹿voiceFM 78.3MHzの「ハンドボールガールズ」で放送予定ですよ。

そうそう国体東海予選の一週間前にフィールドテスト&形態測定を実施しましたが、筋力量&除脂肪体重が上がっている選手、遠くに跳べて、速く走る事ができるようになっている選手が殆どでした。国体東海予選の結果は先日御伝えした通りです。現在は和歌山国体に向けて2サイクル目に突入しています。



福井大学医学部ハンドボール部 6期目⑩

[ ハンドボールスクール福井大学医学部コーチ ]

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西医体はベスト16どまりだった福井大学医学部。準優勝の神戸大学相手に前半リードしていた様ですが、後半踏ん張りきれずに敗戦。

これで6年生のよしき&はるきは引退です。4年生時にキャプテンとして挑んだ西医体で福井大学医学部史上初の決勝戦までチームを導いたよしき。

今回は最終学年として臨む、最後の西医体でした。本人が望む形とはほど遠かったんだと思います。よしきは春、膝を怪我してしまいました。「櫛田さん、やってしまいました。西医体に間に合いません。もう頭真っ白です…。俺、どうしたらいいっすか…」と病院から泣きながら電話くれた時の事は今も鮮明に覚えています。

僕が福井に移ってから、1年生から6年間コーチをさせてもらってきたよしき。最終学年として最後の西医体にかける想いを知っていたし、怪我したあとの膝の状態がどうなのかも分かるだけに、簡単には言葉をかける事ができませんでした。

それでも、練習メニューを考える事、チーム全体を観る事、試合中にベンチから指示を出す事、タイムアウトをとる事でチームに貢献し続けてくれたよしき。もはや監督それですよね。自身の経験、それ以上のものをチームに残そう、自分が出れなくてもチームを優勝までたどり着かせるんだという決意がよしきからは痛い程伝わってきました。

僕が三重に移ってからも、節目節目で何度も連絡をくれて、「今のチームはこんな感じで、僕はこうしようと思うんですけど、櫛田さんはどう思いますか?」何度もこんな話をしてくれました。

西医体の最後の試合を観ることはできなかったけど、8月9日にフレア体育館で直前の様子を観させてもらって、いいチームに仕上げて来たなと感じていました。

福井にいた6シーズン、月に一回くらいを目安にコーチをさせてもらって、北電のホームゲームの時には何度も応援にきてくれたり、北電の若手連中が自身の自主トレも兼ねて福井大学医学部の練習に顔出したりと、いい関係性を保ちながらの6シーズンでした。

西医体を終えてから、次期キャプテンのてっちゃんから早々に連絡をもらいました。よしき&はるきの想いをしっかりと受け継いでリスタートをきってくれるんじゃないかなと感じています。



滋賀医科大ハンド10期目 8〜13回目 西医体

[ ハンドボールスクール滋賀医科大学コーチ ]

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気がつけば8月も最終週ですね。実は8月14〜17日は西医体でした。同時期にチーム三重の国体東海予選があったので、「今年は滋賀医大コーチとして西医体帯同は難しいと思うよ」と学生達には早い段階から伝えてありました。

例年よりもコーチ回数が少ない中、奥田主将を中心に自分達でチームを作り上げてくれました。今期のチームのスローガンは「チャレンジ」、これも自分達で考えだしたものです。

西医体直前になり、キャプテンの奥田が「西医体には自分達だけで臨む予定だったのですが、もし自分達だけで最終日まで勝ち残れたら、17日の準決勝・決勝だけでもいいので西医体の会場に来てもらえますか?他の部員には内緒にしておくつもりです。」と相談にきてくれました。

チーム三重は無事、15日、16日の東海予選で優勝。17日の早朝に三重を出発、一路奈良へ。

会場に到着すると学生達の「あ????へっ????何で櫛田さんいるんすか?」という、何年か前にもあったこのパターン。

残念ながら、準決勝では神戸大学に1点差で敗れてしまい決勝の舞台には立てず…

3位決定戦では気持ちを立て直して、山口大学との接戦を制して、何とか3位入賞を果たしました。

自分達で準決勝までたどり着き、昨年同様3位の座を確保できたのは良かったのかもしれませんが、彼らが目指していたのは優勝のみ。

その目標が阻まれた神戸大学との準決勝戦後に泣き崩れる彼らの姿は今も目に焼き付いています。

GKとしてスタートした6年生の山本は途中、目の故障で休部や退部も考えて悩んでいた時期もありましたが、チームに残ってくれて、ラスト1年ちょっとで右サイドに転向。高い打点からのサイドシュートに磨きをかけて、GKからCPへ転向して1年足らずで最後には西医体のベスト7にも選ばれる活躍を見せてくれました。

山本が故障で苦しんでいた時、プレーできない期間のチームとの関わり方に悩んでいた時、そんな自分がサイドに転向していいのか悩んでいた時、それをずっと見守っていた他の部員&マネージャー。

優勝が全てなんですが、10シーズンチームを観させて貰って、一人一人と向き合って来ました。一度挫折しても、セカンドチャンスを自分で摑み取って立ち上がる。そしてその姿を後輩たちが観ている。やっぱりこういう部分って大事なんだと思うんですよね。

月に1回3時間くらいのコーチで、もちろん彼らの全てを観る事はできないですが、その彼らとの時間に何を伝えるのか?何を感じてもらえるのか?回数や時間が限られているからこそ、お互いに一回一回、一瞬一瞬が勝負だと思ってコーチをしているし、コーチを受けているんだと思います。

けしてハンドボールで飯を食べていくわけではなく、将来医療従事者になる彼らに、僕がハンドボールを通して伝えられる事は何だろうかといつも考えています。

ドイツに行く前、ドイツにいる時、怪我をして日本とドイツを行ったり来たりしている時、日本でリハビリをしていた時、北電に加入して福井に移ってから、そして今期から三重バイオレットアイリスの監督にと、2006年からの10年で僕自身にも変化がありました。

一先ず10期目の滋賀医科大学ハンド部のコーチが無事終了しました。



国体東海予選を終えて

[ ~2022 三重バイオレットアイリス2015/2016 シーズン(MVI) ]

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先週末の国体東海予選の話を。8月15日、16日は鈴鹿市立体育館で国体予選でした。

結果はFacebookでもお知らせした通り。

準決勝 三重 32-9 静岡
決勝 三重 26-19 愛知

和歌山国体本戦の出場権を獲得する事ができました。皆さん応援ありがとうございました。

社会人選手権をクラブ最高成績の3位で終えて、6月1日から2ヶ月半かけて準備を進めてきました。結果だけみれば順調そのものですが、そんなに簡単ではありませんでした。

東海地区からは愛知県=HC名古屋、岐阜県=HC飛驒高山といずれも日本リーグのチーム。この両チームと三重県(主力は三重バイオレットアイリス)、そして静岡県の4チームから1チームしか国体本戦には出場できません。

おりひめJAPAN加えて、ユニバーシアード、Jr.などの日本代表活動で選手が出たり入ったりの中、鈴鹿で全員揃ってトレーニングできる機会は殆どありません。(この辺りが難しく、面白い部分でした。)

リオ五輪の予選に向けておりひめJAPANの合宿続きの池原&原+Jr.代表の岩見が今回の国体予選には出場がきない中で、しっかりと和歌山国体の出場権を獲得する。社会人選手権であまり出番がなく、どちらかと言えば悔しい想いをしていた選手にとってはチャンスであり、勝負の機会でした。

話は変わって、僕は以前から国体など県の代表として出場する大会にはその県のベストのメンバーを編成して出場できたらなと考えていました。そして上記の背景もあったので、「可能であれば、今回の国体からチーム三重で挑みたい」とクラブのスタッフ、三重県のハンドボール協会、体育協会さんに相談させて頂きました。

皆さん、「よしやろう」って感じで、出来ない理由を捜すのではなく、実現する為に何が出来るかという発想で、調整してくださいました。ほんまにありがたかったです。

社会人選手権明けの練習でバイオレットの選手達にも「国体には選抜チームでいくから競争だよ。」「でも現実的にはバイオレットが主体なのは間違いないから、誰がチームに合流してきても自分達がやることを丁寧にやろう。しっかりと受け入れてあげよう。」と伝えました。

三重出身の大学生、バイオレットOGに何度か練習や練習試合に参加してもらって、メンバーを絞り込んでいきました。最終的にはバイオレットから12名、OG1名、大学生1名の14名でメンバーを編成しました。(快く選手を送り出してくださった大学チームの関係者、OG選手の職場の皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。)

今回のチーム三重という試みだけでなく、メカルイベント、高体連技術講習会、選手の職場訪問、ウエイトトレーニング、フィジカル測定、男子チームとの練習試合、栄養サポート、バイオレットドリームなど、挙げだしたらきりがないほどの環境変化が社会人選手権以降、選手にもクラブにもありました。

社会人選手権までは元々建っていた家の中でどう住みやすくするのか?って発想で大会に臨みましたが、社会人選手権以降はクラブもチームも設計図をもう一度書き直して再出発するようなイメージでした。ほんまに選手もスタッフも大変だったと思います。

こうやって新しいことをやりだして、成果に繋がらなければ…

プレッシャーや不安な気持ちもあったかと思いますが、選手達は2ヶ月半かけて準備してきたことをしっかりとコートで表現してくれました。クラブスタッフの皆さんも、選手がプレーしやすい環境作りの為、身を粉にして動いてくれました。

まだまだ課題も多いですが、それでも選手が自分達で考えて、行動して摑み取った今回の和歌山国体の出場権は本当に嬉しく思います。

昨日から、国体予選明けのチーム練習が再開しています。しばらく海外に出ていた、原、池原、岩見もチームに合流して久しぶりに選手全員が揃っています。

和歌山国体での優勝が次なる目標です。



チーム三重

[ 日々 ]

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怒濤のように毎日が過ぎ去っていきます。世間は御盆休みでしょうか…

8月1.2日と大阪遠征。関西学生リーグ&日本リーグ勢が何チームか集まってのサマーキャンプ。そのまま3.4日と大阪に残ってインターハイの視察。

5〜7日と武庫川女子大の鈴鹿合宿受け入れ、そして9〜12日は北陸遠征で福井&石川へ。そして13日の今日は西日本インカレの決勝戦を視察。先ほど事務所へ戻ってきました。

ここしばらくの映像を見ながら、ゆっくりと8月からここまでを振り返っていました。

社会人選手権を終えて2ヶ月半、何が課題で、何を狙って、どんなトレーニングをどれくらいしてきたのか?

8月頭からのトレーニングマッチの中でどれくらいパフォーマンスに現れてきたのか?

そして今週末15、16日は国体東海ブロック大会です。

これまでは三重バイオレットアイリス単体で出場していたようですが、今年度からはチーム三重として出場します。

主体は三重バイオレットアイリスですが、三重県出身の大学生&三重在住の社会人(バイオレットOG)をメンバーに加えています。

三重県としてベストの布陣で国体へ臨みます。

北陸遠征中に嬉しかったエピソードの一つ。福井県の小学生の鍋ちゃんがお父さんと一緒に北國合宿中に遊びにきてくれました。

この前のメカルイベントの時は三重まで来てくれたしね。バイオレットの選手達も鍋ちゃんのことをしっかりと覚えていたみたいでした。

9日の福井でのトレーニングの後もJHLカップを終えた、北電Jr.の子達とばったり遭遇!!!福井大学医学部の皆にも会えたしね。みんな元気そうでしたね。

北陸で一緒に仕事をしていた川口さん、野澤さん、井上さんも合宿中に顔出しに来てくださいました。

それにしても、久しぶりのBlogでしたね…