ブログ&ニュース ( 2017年11月 )

日本代表チームのコーチへ

[ ~2022 三重バイオレットアイリス ]

2017年11月13日に東京で、おりひめジャパン(女子ハンドボール日本代表チームの愛称)のドイツ世界選手権の記者発表および壮行会が行われた。

すでに日本ハンドボール協会(以降、JHA)やネットニュースからもリリースがあったが代表チームのコーチとして今回の世界選手権に帯同させて頂くことになった。

日本リーグのブレイク期間、そして世界選手権の開幕直前のこのタイミングで代表チームのコーチに就くことの意味、役割を噛み締めているところだ。

JHAの今年度の新会長、新役員が決まり、そこから一気に事が動き出した。11月に入ってから正式にJHAから三重バイオレットアイリス側(以降、MVI)に代表チームコーチのオファーがあった。

そこからJHAとMVIとで協議を重ね、日本リーグの年内最終戦が行われる11月12日の直前にようやく基本合意に至った。

広島メイプルレッズ、オムロンとの連戦を終えて、年内最後のホームゲーム、大阪ラヴィッツ戦への準備を進め、集中力を高めていく中で、MVIの選手たち代表チームコーチの件を自分の口から説明した。

非常に難しいタイミングだったが、11月12日の大阪ラヴィッツ戦の試合後には東京入りして、日本代表に合流し、13日には記者発表&壮行会が予定されていたのでオムロン戦と大阪ラヴィッツ戦の間にMVIの選手たち伝えるしかなかった。先週末の大阪ラヴィッツ戦までは日本リーグに集中していて、代表コーチの話題に周囲がいくら触れても、意識的に大阪ラヴィッツ戦のことだけを考えていた。

代表チームに合流して直ぐにスタッフMTG。チームの目標と自分の役割を確認した。そして昨日の記者発表、壮行会を終えて今は一度、東京を離れて鈴鹿に戻ってきてる。

記者発表を終えて、一度鈴鹿に戻ることは事前にJHAに了承済み。そして代表選手たちにも一度チームを離れることと、その理由を伝えさせてもらった。

あまりにも急な話でもあり、僕が今回の活動で約1ヶ月、MVIを離れるためにその期間の準備が必要だからだ。チーム&個人の目標設定、活動プランの共有など、チームを離れる期間の引き継ぎを済ませてから17日に代表チームに再合流の予定だ。事前に了承済みとはいえ、代表活動スタートの大切なこのタイミングで、一度鈴鹿に戻ることに理解してくださった代表スタッフ、代表選手にはこの後の17日から自分の仕事で必ず返す。

日本リーグのブレイク期間のこの1ヶ月半の大切は嫌と言うほど理解してる。世界選手権が終わって帰国すれば直ぐに日本選手権、そして日本リーグが再開する。プレーオフ争いの真っ只中、そして現場スタッフが監督の僕一人でコーチ不在というMVIにとって今回の話は大きな決断だった。代表コーチの話=名誉なこと=はい分かりました。そんな簡単なものではなかった。

MVIはまだ1シーズン、1ゲームが勝負の時期。クラブとしての長期計画は持っているが、それと同時に目先のことに拘りまくっている時期でもある。

大きな視点で捉えた時に指導者の僕自身が世界の最前線を感じて、世界とのモノサシを手にいれることで選手にも、クラブにも、三重県にもプラスにできる。

どちらの視点も必要だ。そしていつも答えはシンプルに。答えは自分の中にある。

「指導者である僕自身が誰よりも成長するために力を注ぎ、誰よりも学ぶ。誰からも学ぶ。」

いつも監督係の僕をいじり倒してくれているMVIの選手たち、日本リーグのブレイク期間のこの時期にチームを離れることなる。少しずつ自立してきたとは言え、初めて1ヶ月もチームを離れることなって不安な部分も少なくないと思う。(大嫌いな監督係がいなくなって更に伸び伸びしちゃうかもしれへんけど。)ほんまにしばらく留守にしますがチームをよろしくな。

僕が不在の期間は梶原BMにハンドボールトレーニングを任せることになる。スポンサー営業で忙しいこの時期に「日本のために行ってこい」と背中を押してくれたのは今でもフルスロットで動いてくれている梶原を始めとするMVIのスタッフだった。

そして、ただでさえ、寝る時以外はハンドボール、ハンドボールの生活の中で家族との時間も殆ど持てていないのにも関わらず「行っておいで〜」といつもの調子で送り出してくれた妻。

東京から鈴鹿に戻る新幹線の中で、このブログを書いている。

そう意味を含めて、「日本リーグのブレイク期間、そして世界選手権の開幕直前のこのタイミングで代表チームのコーチに就くことの意味、役割を噛み締めているところだ。」ということなのだ。

何よりも誰でもそう簡単に巡ってくるチャンスではない。全身全霊を注いでチャレンジするだけの価値が、日本代表チームや世界選手権にはある。日本代表や世界選手権とはそういう舞台だと思う。そしてそれと同じだけのやり甲斐と未来がMVIにもある。

成功を信じて全力でチャレンジするのみである。



日本リーグ前半戦13試合を振り返るの巻

[ ~2022 三重バイオレットアイリス ]

無事2017年内の日本リーグ13戦を終えた。ここまで13戦8勝4敗1分(勝点17)だ。

シーズン前に右サイドの池原がニューコビン(デンマーク)へポストの角南がSONY(日本)へ移籍した。それぞれ更なる高みを目指して新天地で活躍してくれている。

ハンドボールをこの地球の何処かで続けていれば、またいつか何処かで一緒にプレーする時が来るかもしれない。それが同じリーグで対戦相手になるのか、再びの丸を背負って同じチームなるのかは誰にもわからないが、地球の何処かでハンドボールを続けてくれていることだけで嬉しいし、刺激になる。

シーズン前は、どこに行ってもこの二人のポジションをどうするのか?そればかりを聞かれた。シーズン前に準備していたことは、右サイドはルーキーの島居と2年目の佐野、ポストは近藤、原、森本の3人をローテーションさせて行くことだった。3人ともこれまではポスト以外のポジションを主戦場としていた。

右サイドもポストもそれぞれシーズン前に準備してきた中でしっかりと成果を出してくれている。平均22得点は僅かにではあるが、昨シーズンを上回っている。全ての試合、全てのプレーが上手くいっているわけではないが、それは昨シーズンも同じ事、試合ごと、プレーごとに何かを感じ、一歩ずつ成長してくれている。

前半戦の序盤に主将の原が、中盤には左サイドの河嶋が怪我で戦列を離れる時期があった。共に日本代表選手で、共に攻守の要だ。そんな緊急事態にもルーキーの中田と加入2年目の細江が大車輪の活躍をしてくれた。チームにとっては緊急事態だったが、この若い二人にとっては大きなチャンスだった。5月の社会人選手権以降の準備期間で中田も細江もいいトレーニング&テストマッチを積んでくれていたので、今回のこの活躍は必然だろう。公式戦でしか経験する事ができない緊張感が彼女たちを成長させてくれている。

前述の島居や佐野、そして中田、細江など若い選手が思い切ってプレーできるように、要所を締めてくれた万谷、GK高木、加藤。そして爆発的な得点力で攻撃を牽引してくれた多田。彼女たちの活躍は言うまでもない。チームの幹となる彼女たちは昨シーズンの修羅場(最終戦までもつれたプレーオフ争い)をくぐり抜けているので、タフなゲーム展開でも自分たちで乗り越えていける力が備わってきた。

前半戦の終盤の山場になった広島メイプルレッズ、オムロンとの連戦。ここでは森本が足首の負傷からこの2試合を欠場。ここはチーム全体で乗り越えてくれた。

幸い、原も河嶋も森本も徐々にコンディションを戻してきている。年内最後のホームゲームでは3人いい状態でスタンバイしてくれていた。年明けの日本リーグでは経験豊かな選手たちの活躍が必要不可欠になってくるだろう。

GK花村も相変わらずの安定感でチームに落ち着きをもたらしてくれているし、7mt阻止でもリーグ上位につけてくれている。ルーキーの林もいいコンディションをキープし続けてくれている、2戦目の広島メイプルレッズ戦の後半での活躍は光るものがあった。

怪我でまだプレーはできていないが、GK岩見もルーキーの水谷も、ベンチに入ればベンチの中から、ベンチをは外れてもベンチの外からチームをサポートし続けてくれている。毎日、怪我ともチームとも向き合いがらが前に進んでくれている。焦らずに着実にコンディションを整えていってほしい。

そして10月末にチームに合流した現役高校生のGK舟久保もチームに新しい風を吹かせてくれている。チーム最高身長の彼女には伸びやかに、スケール豊かに成長して行ってもらいたい。

サテライトプレーヤーの伊藤も林(はな)もホームゲームの際はチームの裏方仕事を一生懸命手伝ってくれている。

人の出入りもあり、怪我などで決して万全の状態とは言えない中で、13戦を終えてこうしてしぶとく勝点を積み上げることができているのは選手たちの頑張り、そして献身的にサポートし続けてくれたスタッフ、何よりも圧倒的なホームアドバンデージにも繋がっているシューターズの紫魂の大声援。(ほんまに、ほんまに、力になっている。)三重バイオレットアイリスに関わる全ての人の力が結集しての13試合、13時間、勝ち点17だと思う。本当にありがとう。

とは言っても、今シーズンもプレーオフ争いはご存知の通り大混戦。毎試合のように順位変動がある。ここからが本当の戦いが始まる。自分たちにコントロールできるのは自分たちの試合のことだけ、目の前のことを楽しみに、集中し続けることこの事が何よりも大切な事。

次の日本リーグが2017年1月6日のSONY戦。そしてその前に日本選手権。前半戦をしっかり振り返って、チームとしても個人として、次のテーマに向かって進んでいこう。その日の練習、その日のワンプレー、その日の生き方、その積み重ねが勝負の瞬間に滲み出てくる。