全日本インカレが終わり函館から春日井に戻ってきた。結果は3位。目標としていた日本一には届かなかった。決勝戦の舞台にも立つことは出来なかった。
1年間の学生たちの真摯な取り組みが3位入賞に繋がった。大学に戻ってきて「3位おめでとう」と声を掛けてもらう機会も少なくない。
しかしその結果に100%満足できているかと言うとそんな事はない。この1年間、作取監督の元でチーム全員が本気で日本一を目指して過ごしてきた。確かに3位入賞と言う結果に手応えを感じる部分はある。しかし日本一に辿り着けなかった悔しさも強く残っている。
そんな今回の函館インカレを時系列で振り返ってみる。
【vs日本体育大学】
初戦の相手は、前年度の準優勝チーム。日本体育大学。中部大学にとってはいきなり大一番。
日本体育大学戦は試合開始直後から防戦一方だった。前半21分で7-14のWスコアの7点ビハインド。そんな展開でも、学生たちは割と落ち着いていた。ここで運動量のあるDFが持ち味の水谷を投入、6:0DFから5:1DFにシステムチェンジ。これを機に中部大学の反撃開始。作取監督の采配がズバリ的中。17-18の1点差まで追い上げた所で前半終了。
後半も5:1DFを継続。日本体育大学はGKを下げて7人攻撃で応戦。追いつけそうで、なかなか追いつけない。警戒していた日本体育大の高速速攻や高速リスタートをチーム全員で死守。後半25過ぎにようやく31-30と逆転に成功。そのまま逃げ切り念願の初戦突破を果たすことができた。
日本体育大学に勝利し、選手たちは一目散に応援スタンドへ猛ダッシュ。声を枯らして応援してくれたサポートメンバーの元へ。喜びを爆発させる学生たちだった。
【vs桃山学院大学】
初戦を突破し2回戦は桃山学院大学との一戦。個人的には、初戦突破した後の2回戦が非常に大切だと感じていた。インカレの組み合わせが決まり、インカレに向けての準備は日本体育大学戦に絞って、全ての力を注いできた。この一戦に全てかけてきた。入学してから一度もインカレを勝ち抜いた事がない学生たちがひと山超えた後なのだ。
試合開始序盤から、どこか集中力を欠いたプレーが続く。得点は取れるが、失点が重なり、なかなかリードが広がらない。前半を終えて20-17でハーフタイムへ。前半と逆側のベンチに移動し、ほぼ無言の選手たち。3点リードはしているがフラストレーションを溜めながらプレーしていた前半そのままの様子。(何やっても、上手くいかない。何か波に乗れない。って言う典型的なやつね。)
4年生の中村がハーフタイム中に声をかけてきた。「このままやと良くないと思うんですけど、一旦コートから別の場所に変えた方がいいですかね?」「俺も同じこと、考えてたわ。OK。場所変えよか。ありがとうな。後は任せて。」
「一旦、落ち着かせるか?」「ガバッと熱量あげるか?」「このまま今しばらく様子を見るか?」とか歩きながら考えを整理していた。
「何かイライラしたり、集中しきれない人?」前半、コートに立ったほとんどの選手が手を挙げる。「みんな1分間、目を瞑ろうか。一旦、自分の時間な。」
みんなが少し落ち着いてきた頃に…
「前半ってさ、ミーティングで話してきた以上のこと起きてる?波に乗り切れないのは、得点直後にリスタートで失点したり、DFで間を割られたり、ミスした後に戻りきらなったり、やるべきことやり切ってないからちゃうか?意識がミスした過去に行ったり、やることやりきってない誰かに行ったりしてへんか?このままモヤモヤ、イライラしたまま試合続けて、ずっこけて負けちゃってもええか?今、ここ、自分に集中して、1年間やってきた当たり前のこと徹底しようや。」
この後は普段の様子に戻り、OFリーダー井上、DFリーダー小林を中心に具体的な会話が始まる。そして作取監督から後半に向けての作戦&闘魂注入。
後半開始。スクラムを組み直したものの、後半開始直後のシュート決定機を決め切れず、その後に退場。前半の嫌な感じを少し引きずる。それでも、コートの選手もベンチメンバーももう分かっている。退場中は我慢。その後、徐々ににリードを広げて10点差で勝利。試合内容には課題が残るが、公式戦は勝利してこそ。これでベスト8。
【vs国士舘大学】
準々決勝の相手は、国士舘大学。前年度の初戦で敗れた相手。学生たちは否が応でも燃える。燃えないはずがない。
試合序盤。中部大学は6:0DF、国士舘大学は5:1DFでスタート。勝負の準々決勝、スタメン起用のCB平野が躍動。自身の1on1をチラつかせつつ、変幻自在に攻撃を組み立てる。平野は作取監督の期待に見事に答えてくれた。国士舘大学は6:0DFにシステムチェンジ。守っても、ピサノ&小林を中心に国士舘大学の攻撃に対応。前半を終えて15-11の4点リード。
後半開始早々に連続退場。後半立ち上がりだけで計4回の退場。前半の貯金を一気に吐き出す。この時間帯も選手たちは慌てなかった。「今は我慢しよう。4回退場で同点ならOKOK」と声を掛け合う。退場明けから、また一歩ずつ自分たちのハンドボールを丁寧に展開していく。終わってみれば35-25の10点差で勝利。これでベスト4。
国士舘大学の5:1DF &6:0DFに対して、攻撃陣が終始、再現性のある攻撃を展開し続けてくれた。守備陣が相手の強力なシューターに対して気持ちよくシュートを打たせなかった。後半、序盤のファールトラブルにも落ち着いて対応できた。
昨年度のインカレ初戦で国士舘大学に惨敗してから1年間。学生たちはその悔しさを忘れることなく丁寧な取り組みを続けてきた。結実。
【vs筑波大学】
「フィジカル日本一」1年前、チーム発足時にフィジカルリーダー中村が立てた旗である。待ちに待った筑波大学との一戦。中村京介を漢にする試合である。マッスルカーニバル。
前半序盤で5-1。最高のスタートダッシュ。筑波大学はタイムアウト。ここから筑波大学の反撃開始。前半を終えて12-13の1点ビハインド。「攻守におけるフィジカルコンタクトで勝負はできている。後半はもっとスピードでも勝負していこう。速攻を押していこう。」ハーフタイムの学生たちの会話も手応え十分といった様子。決勝進出をかけて後半開始。
勝負の後半。中部大学の攻撃での決定機が何度も弾き返される。じわりじわりと点差が開きだす。DFシステムを5:1DFに変更するなど、何とか巻き返しを図る。しかし点差は詰まらない。何度もシュート止められ、天を仰ぐ選手たち。それでも諦めず必死のプレーを続ける。ベンチからサポートの声が飛びかう。応援スタンドから鳴り響く太鼓の音、サポートメンバーからの大声援。4戦連続の大声援は既にガラガラ声。無情にもタイムアップ。24-29の5点差で敗戦。
中部大学のインカレが終わった。筑波大学に敗れて泣き崩れる学生たち。嗚咽。
筑波大学に敗れた後、学生たちには「胸を張って春日井に帰ろう」と伝えた。彼らは現時点で持てる力を出し切ってくれた。2年連続1回戦敗退だったチームが激戦を勝ち抜いて、準決勝まで勝ち進めた。チーム一丸となって闘い続けた彼らを誇らしく思う。この1年間、彼らの取り組み、変化を側で観ていた。本当に誇りに思う。
だからこそ、むちゃくちゃ悔しい。決勝戦の舞台で日本一をかけて勝負したかった。他に何か出来ることは無かっただろうか。何が足りなかったのだろうかと。そんな感じで様々な感情が交錯している。
今回のインカレはチーム全員で函館入りした。連日、サポートメンバーたちは声を枯らして応援してくれた。試合が終われば直ぐに、対戦相手の分析、並行して夜間には裏インカレも控えていた。身を粉にして、チームのために一緒に闘ってくれた。
作取監督が大切にしている「チームは一つ」「全員でやりきる」ってことを、最後の最後まで学生たちはやり抜いてくれた。今回のインカレに関わってくれた全ての皆さん本当に有難うございました。
【試合結果】
中部大 35(17-18 18-15)33 日本体育大
中部大 43(20-17 23-16)33 桃山学院大
中部大 35(15-11 20-14)25 国士舘大
中部大 24(12-13 12-16)29 筑波大
【個人賞】
谷前知優
さあ、次は12/13からの日本選手権である。泣いても笑っても4年生と一緒にできる最後の大会。少し休んで、ラストスパート。ラストダンス。